災害時の避難所受付のスマート化【危機管理課】
要点
背景
- 避難所の運営は、受付など多くの業務がアナログなプロセスで行われている。限られた人員で避難者の効用を最大限担保する避難所運営が求められている
- 指定避難所は37か所で、地域によっては高齢者が多い
解決したい課題
- 避難所の入口で登録票に氏名住所などを手書きする必要があるため受付付近で混雑・混乱が生じやすい
- 避難所運営は、避難者の誘導・管理や定期的な情報集計・報告、物資の管理など多い。災害対策本部へは紙の書類で管理しFAXで報告するため時間と労力を要する
実現したい未来
- 避難所の開設、運営及び閉鎖までの一連のプロセスをデジタル技術を使ってスムーズにできるような仕組み
- デジタルを用いた避難所運営の効率化により、避難者の負担軽減と、避難者の利便性を高めたい
想定する解決策や技術
- スマホの活用、マイナンバーカードやQRコードなど避難者登録をスマート化
- 避難所受付機能や避難所混雑状況配信を搭載したシステム導入
提供可能なデータ・環境等
- 避難所登録票フォーマット
- 避難所から市の本部への報告フォーマット
実証実験後の発展性
- まずは、地域主導の訓練を活用して避難所受付のスマート化の実証に取り組みたい
- 次のステップで、避難者のデータ活用や災害対策本部との連携効率化に取り組みたい
ストーリー
避難所の受付業務の円滑化が急務
- 近年、自然災害が頻発化、激甚化するなか、自治体は有事に備え、迅速かつ適切な判断で住民の安全・安心を支援する体制を整備する必要に迫られています。
- 全国各地では局地的な豪雨等により避難情報を発令しなければならない災害が年々増加しており、本市では小中学校などを避難所として指定し、避難所ごとのマニュアル作成の参考となるべき指針として、「刈谷市避難所運営マニュアル」を作成し、避難所の運営体制の強化を図っています。※市内指定避難所は現在37か所
- 避難所の運営は、避難所を利用する人が自主的に行うことができるよう、避難所を利用する人の代表者や地域の役員、行政担当者、施設管理者などで構成する委員会によって行われますが、多くの業務がアナログなプロセスで行われており、限られた人員のなかで避難者の効用を最大限担保する避難所運営が求められています。
- 地区ごとのブロック会議や勉強会をとおして、SNSを利用した新しい形の訓練や地域が作成した避難所開設マニュアルを利用した、避難所訓練等が進んでいます。
地区での避難所開設等訓練での声
本市では、2022年度に北部地区が避難所運営訓練を、中部地区が避難所開設訓練を行いました。
避難所運営者
- 災害時、避難所開設の人手が足りない。受付に割ける人数も少ない・・・
- 定期的に状況報告する余裕がない・・・
- 避難所の状況がタイムリーに情報発信できない・・・
- 避難者の入退所管理が迅速にできず、問い合わせ対応時間がかかる・・・
- 数百人規模の避難者を管理できるのか不安・・・
- 避難者数の取りまとめに時間がかかる・・・
- 在宅避難者や車中泊避難者の管理はどうするのか・・・
- パソコンを用いた避難者管理ができないか・・・
避難者
- 避難所登録票の記入に時間がかかる・・・
- 行列、長時間の屋外待機・・・
- 他の避難所の状況が分からない。混雑を避けて避難したい・・・
アナログなプロセスによって・・・
- 受付業務の混乱
避難者は避難所の入口で登録票に氏名住所などを手書きする必要があるため入口付近で混雑が生じやすく、1か所に想定以上の避難者が押し寄せた場合などは、受付段階で大きな混乱が生じることが考えられます。
- 避難所運営の遅れ
避難所を開設する際に避難者の誘導だけでなく避難者の管理や定期的な情報集計・報告、物資の管理など多くの作業が発生するなか、災害対策本部への連絡は紙の書類で管理しFAXを利用して報告するなど、対応に時間と労力がかかる仕組みになっています。
さらに、コロナ禍において、感染対策のため、避難所内のゾーニングとパーテーションの設置、避難者の健康状態の確認と、その結果に応じた滞在区分への案内など、避難所運営の業務が増加、複雑化しており、アナログなプロセスを刷新し、避難所運営の効率化、省力化が求められています。
こんな姿を目指しています!
★目指す姿
「避難所運営の効率化による運営者の負担軽減と避難者の利便性の向上」
- 今回の実証事業では、避難所の開設、運営及び閉鎖までの一連のプロセスをデジタル技術を使ってスムーズにできるような仕組みを試してみたいと考えています。
- デジタル技術として、スマホの活用、マイナンバーカードやQRコードなどを使ってのスムーズな登録作業を行なえることが考えられますが、避難者に寄り添った支援を行っていくために、どのような手法が望ましいものなのか、多くの方がスムーズだと感じるための課題は何があるのか、実証事業を通して検討したいです。
また、避難所受付のスマート化を地域にどのようにして根付かせていくのが望ましいかを併せて考えていきたいです。